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宝登山神社

更新日:2023年5月10日

私はよく秩父の山に出かけます。私が浦和生まれの埼玉県民であることから同じ県内で高速を使って1時間程度で行けること、昔から海よりも山に惹かれていた事もあります。以前お話ししさせていただいた先祖供養を行なっていたのも水の綺麗な秩父の山中でした。


道中よく参拝させていただくのが長瀞駅近くに建立されている宝登山神社です。


秩父鉄道長瀞駅を降りて荒川に向かい途中秩父のお土産屋さんや地場農産物を使った屋台などの出店通りを抜けるとライン下りで有名な岩畳と呼ばれる観光名所に着きます。


約8,000年ほど前に付近の岩石が20キロ程の深さまで引き摺り込まれて変成された薄いパイ生地のような形状です。地下深くの岩石を地表で観察できるので「地球の窓」とも言われているそうです。


ライン下りではこのダイナミックな景観と桜や紅葉など四季折々の自然の中、冬にも豆炭あんかを使ったこたつ舟で船頭さんの楽しいお話を聞きながら素晴らしい景色を堪能する事ができます。



駅から反対側を歩くと交差点の山側に白く巨大な鳥居が出迎えてくれます。ここが宝登山神社の大鳥居と呼ばれる一の鳥居です。この宝登山神社は「蝋梅」(ろうばい)で有名です。読んで字の如く花びらをロウでコーティングしたような質感があり、梅と同じ時期に綺麗な黄色い花を咲かせますが梅の仲間ではなく、甘く優しい香りをした中国原産の落葉低木です。


しかし私がお邪魔した桜の季節も見事でした。長瀞の桜は「日本さくら名所百選」に選ばれるほどの桜の名所です。一の大鳥居から二の鳥居まで桜並木が続いていて、枝垂れ桜も見事に花を咲かせていました。


一の大鳥居の先は表参道と呼ばれ食べ物屋さんやお土産屋さん、ギャラリーも点在していますが数は多くなく、他の神社のように街をあげて観光に力を入れていると言った感じはなく自然の中に溶け込んでいました。



宝登山神社の歴史は非常に古く、第12代景行天皇の在位中、西暦110年が創建年とされているので実に1,900年以上前になります。景行天皇の息子である日本武尊(ヤマトタケル)が中央集権に従わない豪族を征服したとされる東征の際にこの宝登山の地に魅了され山頂を目指しましたが、途中山火事に遭い窮地に立たされた時、なぜか巨大な犬が現れ火を消し始めます。後にその巨犬が御神犬であったと知った日本武尊はその地に火の神さまである「火産霊神」、山の神様である「大山祇神」、そして初代天皇「神日本磐余彦尊」の三神を祀ります。そして山の名前も火を止める山の意味で「火止山」(ほどさん)とし、後に「宝登山」となったと言われています。火災盗難避け、諸難避けの守護神としての御神徳が高く、秩父神社、三峰神社と共に秩父三神社と言われています。


豊かな自然や多彩な文化遺産など各地を独自の方法で調査し、旅行者にお勧めしたい場所を掲載した2011年5月発行の「ミシュラングリーンガイド•ジャポン」において一つ星に選定されたほどの圧倒的な美しさと威厳を秘めた佇まいです。



社殿の欄間には煌びやかな彫刻が施されていますが、これは江戸時代に活躍した彫刻家飯田岩次郎が中国の孝行話として有名な「二十四孝」から八話を選んで彫ったとされています。


お話はどんな犠牲を払ってでも親孝行をすべきと諭しております。これに関しましては行き過ぎた考えだと批判する向きもありますが、中国思想の時代背景が垣間見れたり、迎合する日本の歴史背景の一考として現代思想との違いを比較するのに最適な材料となるのではないでしょうか。


二の鳥居前の売店奥にロープウェイの乗り場があり、宝登山の山頂まで一気に登る事ができます。そこには日本武尊が神霊を祀ったとされる奥宮があります。とても見晴らしが良く5月2日の八十八夜には「ツツジ祭り」が開催され雅楽や奉納演演武が行われます。


また近くには小動物園もありニホンザルやホンシュウジカなどの動物たちと触れ合うことができます。




私は今年初めにもここ宝登山神社で60歳になった厄祓いをしました。二の鳥居をくぐり長い階段の前に立つと自然と身が引き締まります。この神社は神社自体のエネルギーもありますが、長瀞の山全体からパワーが滲み出ています。それは山を丸ごと包み込む春霞のように優しいエネルギーです。訪れる人もいっときぼんやりとそのエネルギーを身に纏っているのが私にはよく見えます。社殿で受付をした後に待合室で待機し、時間になると名前を呼ばれました。


椅子に座ってそこに居る全員が頭を下げた時に、突然空気が変わりました。号鼓(ごうこ)と呼ばれる太鼓を打ち鳴らし合図をした時に天空からエネルギーの塊のような轟音が聞こえました。まさにSF映画などで使われる宇宙船が起動するような様子です。神さまがお出ましになられたのがはっきりと判りました。神主さまに祝詞を奏上していただき、玉串礼拝も代わりに執り行っていただき滞りなく終了しました。



厄祓と聞くと皆さまどんな感じを受けられるでしょうか。厄が身体から垢のように落ちていく感覚でしょうか。実は厄祓いにはご自身の運命の波を鎮める働きがあります。琴などの弦を弾いた瞬間にもの凄い波動が起こりますが、だんだんと鎮まり音もなく真っ直ぐな一本の弦の様子に戻る感じです。私たちの運命もたくさんの出来事によって木の葉のように揺れ動いていますがひととき厄祓いで凪のように静まっていくのです。静まって安定した足場から私たちはまた次の目標を正確に射抜く事ができるのです。また私が霊視した時に、通常であれば相談者さまには大きな運命のブレが見えるのですが、普段から神仏に足繁く通われていらっしゃる方は一本筋が通ったようなしっかりとした運命となっております。


それだけ神仏参拝や厄祓いなどは大切な儀式なのです。


その後私はお札やお守りなどをいただいてから帰路につきました。二の鳥居の前にある茶屋では名物の秩父味噌で味付けした黄金団子を串に刺して焼いています。厳かな気持ちで参拝された後は香り高い秩父の味を堪能なさってみてはいかがでしょうか。



世界が平和でありますように。



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